今日もパリの街角で

数枚の写真とともに パリの日々刻々をご一緒に

今日の仏日で平常と衝撃

 

本日の写真は全てフランスBMF-TVの

画面の撮影です。

 

1月24日夕刻

テレビでニュースチャンネルをつけたらら

いきなり刺激的な映像が

眼に飛び込んできた。

 

 

薄暗くなりかかっている街角に

紅蓮の炎が上がっている。

 

 

タイトルには

「目標にされたアジャンの県庁」

とある。

 

よく聞いてみると

仏南西部「ラングドック・ルシヨン」地方の首邑

アジャンの県庁を

近郊の農家のデモ隊が「襲撃目標」にしたらしい。

 

 

 

EUの酪農政策に合わせて環境基準を変更する際の

高負担を酪農家に押し付けて

補償を惜しむ政府に不満を募らせた酪農家たちが

堆肥(家畜小屋の糞尿の混じった敷藁)と

そこから回収される汚水とを

アジャンの県庁の門前に投棄して火を放って

抗議行動をおこなっているという出来事の

現場中継と

スタジオでの農業問題専門家

および議員との

激しいやりとりの番組でした

 

 

 

 

メガホンでアジテーションするのは

「村落間問題調整委員会(意訳)」の

デモ企画リーダー達。

 

現地レポーターにインタヴューを受けた

中年の酪農家は

「こんなに人が集まったのは初めてみた

 しかも青年層がこんなに集まったなんて」

と感無量の様子。

 

 

驚いたことは

火の手の凄さではありません。

 

他に延焼する恐れはない

この程度のことは

フランスでは国民の抗議行動の中では

ありきたりのことだから。

 

 

デモ隊リーダーの抗議の演説を

明瞭にテレビのマイクが拾って視聴者に伝えている

事実でもありません。

 

それは

国民の抗議行動の報道では

当たり前のことだから。

 

 

 

次々とやってきて

堆肥を県庁正門前に積み上げて帰ってゆくトラクターを

大群衆が拍手で送り出すことでもありません。

 

そんなことは

フランスのデモの際は

ごく普通に見られることだから。

 

画面の

スタジオの抜き窓で

地方政治家と

国の政治家と

専門家とが

喧嘩腰で討論を続けている事でもありません。

 

そんなことは

フランスの政治報道の風土では

当たり前のことだから。

 

驚いたのは

フランスでの平常映像が

日本では「衝撃映像」として扱われるはずだ

気がついたこと。

 

 

画面には

即時に行った世論調査が表示されのうぎょぷ

国民の72%が

EUの農業政策はフランスにはハンディキャップになる

と回答し

デモ行為に理解を示す国民が82%いて

今回の行動を批判しないと答えた国民が60%超いて

酪農家への環境汚染規制強化で

価格が上昇するであろう事態に

国民の35%が

食料品への現状より高い価格を支払うことに

同意しているということ。

 

おそらく日本では

デモの国民の受け取り方も

価格上昇への覚悟も

報道姿勢も

この種の出来事を「センセーション」としえしか

捕らえないだろう

と言う事です。

 

フランスの常識は日本の非常識

日本の常識はフランスの非常識

と言うことに

改めて気づいてしまった事でした。