今日もパリの街角で

数枚の写真とともに パリの日々刻々をご一緒に

今日のオマージュ

 

このエドゥアール・マネの名作

「オランピア」という絵は

おそらくほとんどの方が

美術の教科書で記憶しておられるでありましょう。

 

オルセー美術館に常設展示されていて

19世紀半ばの

アカデミスム一辺倒の官制芸術であった美術が

産業革命による社会の変化と期をいつにして

日常性をそのまま表現する

「自然主義」に移行して行く間の一里塚

みたいな作品なのです。

 

そもそも19世紀前半まで

女性の肉体を下世話に表現することは下品で

芸術とは相容れない

とされていた時代。

 

あくまで古代ギリシアやローマの「女神」として

格調高く表現すべきでありました。

 

この「オランピア」には元となった作品がありまして。

 

 

ヴェネチア派ルネッサンスの巨匠

ティントレットの描いた

「ウルビーノのヴィーナス」

という

フィレンツェのウッフィッチ美術館所蔵の名作です。

 

「オランピア」は

このティツィアーノの作品の

いわば歌道や陶芸で言われる「本歌取り」なのです。

 

ところが発表当時時

くそみそにけなされてしまいました。

 

なぜ批判されたかは本日のテーマではないので

割愛します。

 

ただ

現在そのオルセー美術館で

「マネとドゥガ 特別展」というのをやっていまして

常設展示の場所から

その特別展の会場に移されていたのでが。

 

そしたら。。

 

 

なんと

その特別展にドゥガの描いた

寸分変わらぬ『オランピア マネの作品より』

という絵も展示されていたのです。

 

いやあ

びっくりした。

 

ドゥガが同じものを描いていただなんて

ちっとも知らなかった。

 

このドゥガの方は

大きさもほぼ一緒で

内容も同じ。

 

高級娼婦の姿形も

黒人の小間使も

足元に黒猫がいることも

全く同じ。

 

ということは

既存の名高い作品に自分なりの解釈を付け加えた

ある意味の「回答」でる本歌取りではなく

「オマージュ」

ですね。

 

 

この特別展には

ドゥガの描いた

マンテーニャ作「キリスト磔刑」という

ルーブル所蔵の名作の「オマージュ」も展示されていた。

 

マンテーニャのオリジナルの方は

何枚か撮っているのですが

今回はここではお見せしません。

 

マネの弟子で

マネの弟を結婚した「ベルト・モリゾー」も

同じマンテーニャのオマージュを描いているのですが

この特別展にはそれは展示されていませんでした。

 

造形芸術の世界では

本歌取りやオマージュは

ごく頻繁に見られます。

 

先達の作品を模写することで得るものが多く

次の芸術家が育ってゆくことになるのですから。

 

そんなことより

今回はドゥガが「オランピア」を描いていた

という衝撃を

お伝えしてみました。

 

 

展示作品数も非常に多く

質も高く

とても良い特別展でした。