パリの街角を飾る名物に
このような塔があります。
これ
広告塔なんです。
近々幕を開ける
あるいは現時点で公演中の
お芝居とミュージカルなどの
案内広告。
クラシカルな形状が
実に「良き日々」のパリの雰囲気を今の時代に伝えていて
街角に溶け込んでいながら
パリの個性を際立たせています。
古代ヨーロッパ文明の完成がローマ帝国であった頃から
芸術という価値観が確立して
最初は三つの分野でした。
まず最上位に置かれたのが「建築」で
人間の五感の全てを石で三次元に再構築する
至高な物だとされた。
それを補佐する様に
二番目の芸術が「彫刻」
三番目が「絵画」だったのです。
ローマ無きあと500年ほど続いた混乱期が終わり
南ヨーロッパで徐々に独立した文化が形成されて行き
13世紀後半から南半分のフランスで
言語が人間の精神を表現できるようになり
吟遊詩人が現れ
14世紀には北半分も言語の成熟を見るに
「文学」が四番目の芸術として登場。
さらに16世紀頃には音階の統一がもたらされ
音楽が五番目の芸術の仲間入りを果たす。
17世紀
「ラシーヌ」「コルネイユ」が
古代ギリシア以来耐えていた芸術的戯曲を書き始め
戯曲家で役者であった「モリエール」によって
演劇が第六芸術となる。
以来フランスは21世紀の今日に至るまで
どの街にも必ず豪壮な国立・市立劇場があり
中小の劇場は数知れず
真夏のオフシーズンを除いて
必ず幾つもの芝居が掛かっているのです。
我が家の近くの
商店もなにもない静かな裏通りにも劇場があり
土曜日だったこともあって
午後の「マチネ」にお客が集まっていました。
小さいながら外観からは想像できないほど内装は立派で
大劇場オペラハウスのような曲線ではなく
長方形の客席ですが
真紅のビロード張りで
後ろと左右には二階席もあるのです。
これは
舞台に向かって左側の二階席から
下の客席を見下ろした写真。
外に張り出されたポスターが上から順に
コルネイユ作『ル・シッド(エル・シド)』
エドモン・ロスタン作『シラノ・ド・ベルジュラック』
モリエール作『守銭奴』
同『ドン・ジュアン』
同『町人貴族』
と古典の名作のオンパレードなのが
さすがに芸術としての演劇を生み出した国ですね。
さらに19世紀末
「リュミエール兄弟」が動画の映写技術を生み出し
20世紀初頭に映画が「第七芸術」と呼ばれるに至った。
ちなみに20世紀後半
日本生まれの「Manga」がアニメを含んで
第八番目の芸術と呼ばれ始めています。