路地を見つけると
嬉しくなります。
なぜなら
そこだけ時が止まっているような
不思議な雰囲気を感じられるから。
久しぶりに
『マレ地区』
に行ってみました。
パリの古さがたくさん残っている
したがって貴族の館も多い
歴史のライヴミュージアムの様な地区なんです。
「サン・ポール教会」
と
「セーヌ」
に挟まれたあたりを歩きました。
本当に路地が多くて
特に袋小路が良い。
古代ローマ時代
町は通りが東西南北で碁盤の目の如くに
幾何学的でした。
芸術的感覚の持ち主というよりは
軍事と技術と法律に長けた民族だったための
結果なのです。
ローマが滅びた後
ゲルマンの侵入で町々は破壊され
あるいは経済活動がなくなった為に人々が流出して
都市が機能しなくなり
廃墟と化してしまいました。
そんなカオスな状況から抜け出し
再び町づくりが始まる頃には
都市計画や設計という概念はなく
幾何学的な感覚も失われ
建物が無秩序に先に作られていった結果
並んだ建物の間が通りになって行き
通りが不規則に曲がりくねった町並みになりました。
中世の到来です。
そんな通りの名残が
あちこちに残っています。
町を囲んで守っていた城壁の一部すら見る事が出来ます。
後世18世紀の建物の角に組み込まれた
12世紀末の城壁の丸い塔の残骸が見えており
そこから左のほうに
壁自体も残っています。
その一角には
宗教建築以外で現存するパリ最古の建物
『サンス館』という15世紀の「サンス大司教」の館も。
ここは
パリ市図書館資料館に属し
美術工芸や装飾
グラフィック・アートなどを所蔵していて
たまたま
「白粉とパウダーケースの歴史」という
展示会をやっておりました。
覗いてみましたがとても楽しかった。
最後に通った路地は
すでに日が落ちた時刻で
通り抜けた向こう側の大通りはまだ明るいのに
路地の中は
すっかり夜の風情になっていました。
エキゾチックな時間が過ごせた
タイムスリップを味わったような散歩になりました。