今日もパリの街角で

数枚の写真とともに パリの日々刻々をご一緒に

今日の「最新の騎馬像」

 

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美術史的にお話しすると

騎馬像は

古代ローマ「マルクス・アウレリウス帝」の

片方の前脚を上げた3本脚で立つ騎馬像が

その嚆矢とされ

ローマ亡き後は

ルネサンス期まで完全な立体では作れなかった。

 

一部を壁に支えさせる

まだ完全立体の彫刻というよりレリーフに近いものしか

重量分散の困難さが理由で作れず

ルネサンス期になっても4本脚だった。

 

19世紀前半に

ルイ18世が発注し

現在ヴェルサイユ宮の正面広場にある

前脚1本を上げ

後ろ脚のうちの1本は爪先立っているルイ14世像が

古代ローマ以後の騎馬像としては

最高と言われています。

 

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一昨年

旧パリ商品取引所の建物がピノー財団の美術館

『Musée de la Bourse du Commerce』

という名でオープンし

そこで年頭から

アメリカ人の現代芸術家『チャールズ・レイ』の

特別展をやっており

彼の代表作の一つ

『Horse and Rider』が美術館前に展示されている

と聞いていたので

脚を伸ばしてみました。

 

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15トン程の金属製ですがほとんど重さを感じさせず

脚まわりに全く支えもなく

ふわりと立っているように軽快な騎馬像です。

 

しかし

しっかり

4本脚。

 

つまり

重たい馬の巨体を

細いたった4本の脚に分散して支えるのすら

相当難しいんだそうで

ましてや3本脚ともなると。。。

 

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今回は入場していませんが

昨年行ってみたところ

ヨーロッパ有数の大富豪「フウランソワ・ピノー」の

個人コレクションを展示した常設展に加え

時期ごとに

作家を決めて特別展も同時開催するのですが

感動的でした。

 

ちなみにこの「ピノーさん」はブルターニュ出身で

15歳で学校を出て上京し

巨万の富を築いた立志伝中の人物で

個人資産415億ユーロだそうです

(円換算は130倍してください)....

 

展示されている彼のコレクションだけでも

25億ユーロの価値とみなされていますが

現代芸術だけで

ですから凄い。

 

プランタンもグッチもサンローランもバレンシアーガ等

モード・ジュエリー・革製品・香水・クリスタルや銀器・超高級ワインなどなど

全部ピノーさんの(会社の)持ち物です。

 

現代の皇帝の一人。。。