今日もパリの街角で

数枚の写真とともに パリの日々刻々をご一緒に

今日の追憶

 

歩いていて

中庭のある典型的な旧貴族の館の門から

中庭が見えたら

いきなり青い衝撃に襲われた。

 

一瞬にして

半世紀前の自分を思い出した。

 

 

渡仏して

最初に恋して

欲しくて欲しくてたまらなかった

あの車。

 

『アルピーヌ・ルノーA110 ベルリネッタ1600』様

その人だ。

 

 

リヤエンジン・リヤドライブ

なので

後輪より後ろにエンジンがある。

 

というか最後部に

普通なら最前部にあるはずのラジエターがあり

逆向きに

エンジンと

コクピットにはみ出したギアボックスが

配置されてる変わりダネ。

 

だから

エンジンを冷やすラジエターへ空気を送る

エアーインテークが

後輪のフェンダーの上にある。

 

それが

実に可愛らしい。

 

エンジンルームの熱を逃がすために

蓋が少し開いているのが

また良い。

 

 

1960年台後半から

1970年台前半にかけて

WRC(世界ラリー選手権)で

何度も年間王者に輝いた

あの名車。。。

 

シャンゼリゼの

ルノーのショウルームに飾られていたのを

一目見て

虜になった。

 

ラリーでの大活躍などは

ずっと後になって知ったこと。

 

一目ぼれだった。

 

 

フロントのボンネットの下には

スペアタイヤと工具箱があって

薄いアタッシェ・ケースが一個置けるかどうか。

 

運転席後ろの

セダンなら後部座席が有る位置に

ギヤボックスが飛び出しているので

その左右に作った

申し訳程度の座席には

3歳児が座れるかどうかのスペースがあるのみ。

 

貧乏学生だった私に買えるはずもなく

運転できたのは

何年も経ってから一度だけ。

 

背中から

大きなドラムを叩く様な

ドコドコというエンジン音が響いてきたことだけ

覚えてる。

 

ずっと後になって

アルファロメオの

ジュリア2000GTVという

小型のスポーツカーに乗っていたが

アルピーヌへの渇きは

癒せなかった。

 

この写真の車は

この館で行われる競売の目玉らしく

中庭に展示されたというわけらしい。

 

ⒸRenaultGroupe  1973年モンテカルロ・ラリーでの勇姿

 

その後車に入れ込んだ私は

F3まで乗ったのですが

モータースポーツへの興味の原点が

このアルピーヌ様なのでありました。

 

若き日の夢を

思い出した散歩となった。