今日もパリの街角で

数枚の写真とともに パリの日々刻々をご一緒に

今日の公徳心

 

ここ一ヶ月以上にわたって

パリ中のメトロの通路に貼ってあるポスターが

あります。

 

まず前提として

パリのメトロの通路は

ホームの壁もそうですが

大判のポスターがずらりと貼られています。

 

清涼飲料水やビール

スナック菓子や最近はやりのデリバリーのアプリ

映画の宣伝や美術館の特別展の告知

などなど

様々な分野の広告ポスターが

2〜3週間単位で別の物に張り替えられて行きます。

 

 

このポスターはというと

一見マーメイドに見えますが

実はこれ

「セイレーヌ(サイレン)」だそうで。

 

古代ギリシアの神話に登場する

上半身が人間の女性で

下半身は鳥。

 

航海路の岩礁などの難所に住み

美しい歌声で公開中の船の船頭を惑わし

遭難させ難破させて

船乗りを食い殺す....

 

後世に

下半身が魚で表すことが始まったとか。

 

恐ろしや。

 

 

なんで今頃「セイレーヌ」?

 

何と書いてあるかと読んでみた。

 

「セイレーヌは存在しない

 けれど

 ゴミ箱はちゃんとある」

 

えええ?

 

これって

何と「ポイ捨て禁止」を啓蒙するポスター

だったのです。

 

よーちえんか!?

思わず突っ込んでしまう

よねえ(苦笑

 

上の写真の右端に

ゴミ箱がしっかり写っております。

 

実は

日本ほどに「公徳心」が

住民の日常に根付いている国は

あまり他にないのですよ。

 

多分

北欧の一部くらいしか。

 

ヨーロッパでは

紙くずや

ペットボトルや

ビールの空き缶や

紙くずや

いろんなものがポイ捨てされているのが

歴史的な事実なのです。

 

特にスランスはひどかった。

 

旧植民地からの移民労働者が多く

彼らが道路掃除などを行うので

ゴミはその時捨てたいところで捨てて当然

という

無意識な社会的DNA的コンセンサス

みたいなものが

根強く残っていたのです。

 

それに加えて

当地は極端な階級社会で

教養のレベルがまるで違うのですが

まして移民2世3世などの

学歴も低く

職もない

みたいな階層が多く

公徳心などは存在しません。

 

さらに加えて

観光客が年間1億人ほど来るパリでは

街の清潔さを守るなどということも

とても難しい。。

 

一応弁護しておくと

ここ30年ほどでパリは驚くほど改良されて

路上にゴミが捨てられていることが

非常に少なくなっています。

 

かつてはパリの歩道の名物であった

犬のフンも同じく

今ではほとんど見かけなくなった。

 

でも

今更ながら

またこんな啓蒙ポスターが登場して

一ヶ月ほども貼ってあるということが

ちょっと恐ろしい。

 

 

コロナ禍で

住民の生活感覚が乱れてきたことも

一因のようです。

 

しかも

2〜30年ほど前に頻発した

過激派のテロ対策で

爆発物を入れにくくするために

透けて見えるビニール袋に変わったまま

今日に至っています。

 

色々な意味で

オソロシヤおそろしや。