今日もパリの街角で

数枚の写真とともに パリの日々刻々をご一緒に

今日の3年後

f:id:kishinohakuba:20220310133231j:plain

 

パリのメトロの通路は

多くの広告ポスターが貼られるのですが

一月前から

このポスターも仲間入りをしていました。

 

『ノートル・ダムが燃える』

というショッキングなタイトルで

3年前のパリの大聖堂の火災をそのままテーマにした

映画です。

 

しかも監督が

巨匠の「ジャン=ジャック・アノー」とくれば

見ないわけにはいかない。

 

ということで

2019年4月15日の事件当日からほぼ3年目の今日

4月11日に観に行ってきました。

 

映画は創作ですが

当時プロアマを問わず多くの人々が撮影した動画を

ふんだんに使い

世界中のテレビ局の

「パリのノートル・ダム大聖堂の火災」

を伝える本物の画面も挿入し

「サンス」と「ブゥールジュ」の大聖堂と

パリの「映画撮影所」のセットでの撮影ですが

まるで

火災発生前から

「撮影隊」がその場にずっと居たかのような流れで

時系列に事の流れを追ったドキュメント形式。

 

想像できますか?

 

850年前の石の巨大かつ繊細な建造物の

人一人やっと通れる狭い螺旋階段を

耐火服に酸素ボンベを背負い

重い放水ホースを担いだ消防隊員が

40m近く登り

途中のいくつもの施錠された分厚い木の扉を

斧でこじ開けながら

火災前から行われていた尖塔周囲の彫刻の修復工事の為の

鉄パイプを張り巡らせた足場に邪魔されつつ

屋根のヘリの狭い回廊を無理やり通って

1200度以上の高温の中

屋根の下に潜り込んで炎と戦う状況を。

 

涙ながらに

最高の宝物である

イエスの『茨の冠』を救い出して欲しいと隊員に乞い願う

主任司祭。

 

まるで核兵器の発射装置のように三重四重の安全対策が仇となり

それぞれの段階ごとの別々の鍵の保管庫の扉を開ける為に

数百個の中から選んだ正しい鍵を使って

やっと手にする最後の鍵で宝物展時代の下の金庫を開ける困難さ。

 

隊員を

屋根から下ろさないと危険なところまで追い詰められた

現場で陣頭指揮をとる陸軍消防連隊司令官の将軍が

「我々は人を救う義務がある

石(大聖堂のこと)は救わない

それがいかに貴重な石であろうとも」

撤退を決断するセリフの重さ。

 

その指令を無視して単独で登り

まだ安全そうな階段を見つけて

正面鐘楼の炎を消さないと

15トンの大鐘以下大小の鐘が溶けたり落下すれば

大聖堂は崩壊する

と司令官を口説き落とす隊員の存在。

 

川岸に群がって

一晩中「ノートルダム(聖母マリア)」を讃える聖歌を

歌いながら見守る市民たち。

 

イダルゴ市長

マクロン大統領

は本人がそのまま出演して

感動てんこ盛りの1時間51分でした。

 

f:id:kishinohakuba:20220310133227j:plain