今日もパリの街角で

数枚の写真とともに パリの日々刻々をご一緒に

今日の誰か

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街角のキオスクの壁の

ガラスパネルのポスターに目がとまった。

 

『いっぱしの人間になる』

と一言。

 

『Devenir Quelqu'Un』

quelqu'un とは

英語の some one

つまり「誰か」ということだが

こういう場合は

「ひとかどの男」みたいな意味になる。

 

フランス政府の陸軍兵士の募集広告。

 

かつては徴兵制だったフランスは

男子は18歳から25歳の間に2年間の兵役が義務だった。

 

学生の間は免除されたが

大学は進級が大変で一学年上がるごとに半減していくので

進級できなければそのまま徴兵。

 

その後1年になり

平和主義者は行政機関に勤務することも可能になり

さらに3ヶ月に短縮になり

20年ほど前に廃止。

 

最近

25歳までの間に1日間

防衛と安全保障の講習会に出ることが義務付けられたが

兵役ではない。

 

NATO軍の中核でもあり

中東や中央アジア

アフリカの紛争に国連軍として参画するので

補充は必須なのだろう。

 

派兵先で命を落とせば

2階級特進の上大統領により勲章が贈られ

国葬の栄で送られて

遺族に特別年金持つく。

 

そういった意味では

「いっぱしの男」なのかもしれない。

 

このポスターが

軍隊の現実をわかりやすく現した写真であることが

国の良心か。

 

コスプレとアニメキャラの世界でない事が

直裁的に伝わる。

 

徴募する方も

応募する方も

フランス人はリアリスト。

 

戦争が仕事とはいえ

職業選択は自由。

 

軍隊など無くなる事を願うが

軍隊のない世界などというものは

いつの日にか訪れるのだろうか。